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確率変数の分散$V(X)$を次のように定義する.
分散は$\sigma^2$という記号でも表される.また,$\sigma=\sqrt{V(X)}$を標準偏差という.
(例)サイコロを投げるときの出る目を$X$とする(以下,「サイコロの例」と呼ぶことにする).平均は$\displaystyle E(X)=\frac72$であったから,分散は
となる.
確率変数の分散について,記述統計編の分散と同様な以下の公式がある.
$V(X)=E(X^2)-(E(X))^2$
(分散)=(2乗の平均)-(平均の2乗)
(証明) 定義に基づいてシグマの性質から導ける.
上の証明は定義に基づいたものであるが,前回記事の期待値の性質から
$\displaystyle E((X-\mu)^2)=E(X^2-2\mu X+\mu^2)$
$\displaystyle =E(X^2)-2\mu\cdot \mu +\mu^2$
$\displaystyle =E(X^2)-\mu^2$
のように導くこともできる.
サイコロの例で,前回記事で扱ったように\( \displaystyle E(X^2)=\frac{91}{6} \)であったから,分散は公式から
$\displaystyle V(X)=E(X^2)-(E(X))^2$
\( \displaystyle =\frac{91}{6}-\left(\frac72\right)^2=\frac{35}{12} \)
とも計算できる(もちろん定義から計算した場合と同じ値となる).
確率変数$X$の一次式$aX+b$ ($a,b$は定数)の期待値と分散について,記述統計編の分散と同様な以下の公式がある.
$E(aX+b)=aE(X)+b$
$V(aX+b)=a^2V(X)$
(証明) 定義に従って示す.シグマの性質を用いればよい.
(期待値の性質から示すこともできる)
サイコロの例について,$3X+1$の平均と分散は
$ \displaystyle E(3X+1)=3E(X)+1=3\cdot \frac72+1=\frac{23}{2}$
$ \displaystyle V(3X+1)=3^2V(X)=9\cdot \frac{35}{12}=\frac{105}{4}$
確率変数$X$が平均$\mu$,分散$\sigma^2$をもつとき,次の値を$\mu$または$\sigma^2$によって表せ.
(1) $E(3X+1)$
(2) $E(X^2)$
(3) $E(2X^2+3X+4)$
(4) $V(3X)$
(5) $V(2X-3)$
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