確率変数の標準化

この記事の動画解説版はこちら→統計チャンネル

確率変数$X$に対して,$E(X)=\mu, V(X)=\sigma^2$とする.このとき

$$Z=\frac{X-\mu}{\sigma}$$

を$X$の標準化された変数という.

標準化された変数$Z$に対して,

$$E(Z)=0, V(Z)=1$$

が成り立つ.

(証明)

\( \displaystyle\begin{eqnarray} E(Z) &=&E\left(\frac{1}{\sigma}X-\frac{\mu}{\sigma}\right)\\ &=&\frac{1}{\sigma}E(X)-\frac{\mu}{\sigma}=\frac{\mu}{\sigma}-\frac{\mu}{\sigma} \\&=&0 \end{eqnarray}\)  

\( \displaystyle\begin{eqnarray}  V(Z) &=&V\left(\frac{1}{\sigma}X-\frac{\mu}{\sigma}\right)\\ &=&\left(\frac{1}{\sigma}\right)^2\cdot V(X)=\left(\frac{1}{\sigma}\right)^2\cdot \sigma^2 \\&=&1 \end{eqnarray}\)  

(例)サイコロを1回投げるときの出る目を$X$とすると, $ \displaystyle  E(X)=\frac72, V(X)=\frac{35}{12}$であるから,標準化すると

$$Z=\frac{X-\frac72}{\sqrt{35/12}}$$

このときもちろん,$E(Z)=0, V(Z)=1$が成り立つ.

標準化された確率変数$X$に対し,新しい確率変数$Y$を

$$Y=10X+50$$

で定める.$Y$の平均と標準偏差を求めよ.

解答はこちら

$X$は標準化されているので,$E(X)=0, V(X)=1$である.

 $E(Y)=E(10X+50)$

   $\ =10E(X)+50=50$

 $V(Y)=V(10X+50)=V(10X)$

   $\ =10^2V(X)=10^2$

よって$Y$の標準偏差は
 $\sigma_Y=\sqrt{V(Y)}=10$

本ブログ・解説動画に対応した資料です(note)

この記事の動画解説版はこちら↓

前の記事へ戻る
18 確率変数の分散
次の記事へ
20 同時分布
記事一覧へ戻る
統計学の基礎シリーズ 目次