実験の方法

この記事の動画解説版はこちら→統計チャンネル

研究と観察研究

実験研究…研究対象に介入して行うもの.研究側がいろいろと条件を変えて行うもので一般に「実験」と表現されることが多い.

観察研究…研究対象に介入せず行うもの.実験をするのが倫理的・技術的に難しい場合に用いられる.調査とも.
(例)・家庭環境と大学進学率の関係
・ごく稀に生じる薬の副作用について調べる

フィッシャーの三原則(①〜③)

①繰り返し…実験には誤差がつきものであり,その見積もりのために必要

実験の誤差には偶然誤差と系統誤差がある.偶然誤差は実験操作や測定にともなう誤差であり偶然に左右される誤差とされる.一方の系統誤差は実験場所,時間,順序などによる誤差であり,実験者が想定しないこともあるため,現実に気付きにくいことが多い.

系統誤差を小さくする方法として,次の②や③が考えられる.

②無作為化(ランダム化)…実験の順番や位置をランダム化し,系統誤差を小さくする.
(例) 3水準(条件)A,B,Cの条件を3回ずつ行う際,順番を無作為化して
BBCCABCAA
という順番で行う.1日に3回までしか行えない制約があったとすると,次のように配置すればよい.①,②を満たす配置の仕方を完全無作為化法という.

③局所管理…系統誤差になりそうな要因でブロック(層)をつくり,各ブロックごとに各水準の実験を(できるだけ)同数ずつ行う.①〜③を満たす配置の仕方を乱塊法という.

次の①〜④に適する語句を選択肢から選べ.

 実験における要因の効果を適切に評価するために,フィッシャーの三原則が重要とされる.偶然誤差の大きさを見積もるために行われるのが( ① ),実験水準以外の系統誤差を偶然誤差に変えるために行うのが( ② ),実験場の違いや実験日などによって発生する系統誤差を除去するために,実験の場を層化して,各層化内では均等な条件にするのが( ③ )である.
 処理効果を確かめる方法として実験研究が行われることが多いが,「飲酒習慣と健康との関係」や「家庭環境による進学率の違い」など被験者に所定の条件を強いるのが倫理的・現実的に難しい場合は( ④ )研究が用いられる.

【選択肢】無作為化,繰り返し,局所管理,標準化,実験,観察

解答はこちら

(解) ①繰り返し ②無作為化 ③局所管理 ④観察

本ブログ・解説動画に対応した資料です(note)

この記事の動画解説版はこちら↓

前の記事へ戻る
34 抽出方法
次の記事へ
36 推定量の分布
記事一覧へ戻る
統計学の基礎シリーズ 目次