大数の法則と中心極限定理

この記事の動画解説版はこちら→統計チャンネル

確率変数の平均 ¯X=1nni=1Xiを標本平均という.標本平均  ¯X について,以下の大数の法則が成り立つことが知られている.

大数の法則

X1,X2,,Xnが互いに独立で,平均μ,分散σ2の同一の確率分布に従うとする.このとき,任意のε>0に対して,limnP(|¯Xμ|<ε)=1

この法則により,標本平均 ¯X=1nni=1Xinを大きくするとき,実現値は期待値μに近い値をとることが期待できる.

標本平均 ¯X の分布について,以下の中心極限定理が成り立つことが知られている.

中心極限定理

X1,X2,,Xnは互いに独立で,平均μ,分散σ2の同一の確率分布に従うとする.もとの分布に関わらず,その標本平均¯X=1nni=1Xinが大きいとき,近似的に正規分布N(μ,σ2n)に従う.標準化すれば,近似的に¯Xμσ2/nN(0,1) となる.

中心極限定理を用いて,次の確率を求めてみよう.

(例)サイコロを100個投げるとき,その平均が4以上となる確率を求めよ.

サイコロ1個を投げるときの出る目をXとすると,

μ=E(X)=116+216++616=72

σ2=V(X)=E(X2)(E(X))2
=1216+2216++6216(72)2
=3512

(上の計算は記事17,18でも行なっている)

サイコロを100回投げるため,上の分布に従う独立な確率変数X1,X2,,X100を考える.中心極限定理により,近似的に

 ¯X=1100100i=1XiN(72,35/12100)

標準化して

 ¯X7235/12100N(0,1)

よって求める確率は

 P(¯X4)
  =P(¯X7235/1210047235/12100=2.927)
  0.0017(0.17%)

ただし最後の確率は標準正規分布の上側確率の数値表から求めた.

この範囲のテキスト試読はこちら

本ブログ・解説動画に対応した資料です(note)

この記事の動画解説版はこちら↓

前の記事へ戻る
29 正規分布の標準化
次の記事へ
31 二項分布の正規分布近似
記事一覧へ戻る
統計学の基礎シリーズ 目次